母体の睡眠リズムは胎児に伝わり、影響を与える

皆さん、こんにちは。

昨年わたしも寄稿させていただいた精神療法のジャーナルに記載されている、公益財団法人精神・神経科学振興財団、睡眠健康推進機構 機構長 大川匡子先生の記事「胎児・新生児の眠りの発達」に、母体の睡眠リズムが胎児に伝わり、影響を及ぼすという驚きの研究報告が掲載されていました。

まだ一般的な認知はさほどされていないと思いますが、「妊娠中に夜間勤務を行い看護師や、勤務中に時座ボケを体験する国際線の客室乗務員では、サーカディアンリズム(生体時計)が乱れ、出生時の赤ちゃんの体重が減ってしまったり、早産になる可能性が増えたり、また流産しやすくなる」ということが判明したことが記載されています。

また、授乳も新生児の生体時計に影響を与える要素である旨が記されており、夜間に睡眠ホルモンである「メラトニン」がたっぷりと含まれたお母さんの母乳を飲んで育った新生児は、ミルクで育てられた新生児よりも、夜間の睡眠が促進されるという研究結果が報告されているのです。

24時間社会で動く日本社会では交代勤務で働く人の人数は年々増加の一途をたどっており、これからも減ることはないことが想像されますから、他人事ではありませんね。

これから生まれ、そしてすくすくと成長していく子供たちのためにも、妊娠がわかった段階からある程度子供が大きくなっていくまでの過程で、母親の生活リズムが安定できるような社会の仕組みづくりが必ず必要になると思います。

と、同時に、最近話題になっている「マタハラ」じゃないですが、誰かが抜ける分、誰かにシワ寄せがいったり、関連するトラブルの火種が生じたりということもあると思うので、そういった対策やサポート体制の構築なども並行して行うことが欠かせませんよね。

胎児期・新生児期に正しい生活リズムを送ることがその後の健康な心身の成長を促す、そして、この時期のすべてを支えられるのはお母さんだけです。

交代勤務の方は上司や会社の仲間に相談したり、生活リズムが不規則だった方はこの機会にぜひ正すよう心掛けてくださいね。

『精神療法 第41巻第6号』

精神療法

http://kongoshuppan.co.jp/seiryo/seiryo.html

本ジャーナルに、友野は「快眠づくりの環境への工夫」というエッセイを寄稿しておりますので、興味のある方は、ぜひ一読してみてくださいね。



友野なおの書籍 新刊は『ねこ先生クウとカイに教わる ぐっすり睡眠法』です。


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