66. 「短時間睡眠者」は寿命も健康寿命も短い

皆さん、こんにちは。

アメリカで行われた大規模な調査では、睡眠時間が6.5〜7.4時間と回答した人々が最も死亡率が低く、それより短くでも長くても死亡率が高まると報告しています。また、イギリスの非営利研究機関「ランド・ヨーロッパ」の研究では、1日の平均睡眠時間が6時間を下回る人は、睡眠時間が7~9 時間の人と比較して死亡率が13%増加すると報告。さらに、睡眠時間が7~8時間より短くなるほどに、あるいは長くなるほどにうつ病の罹患率が高くなるという報告もしているのです。

精神・身体の両方を蝕む睡眠不足

これまでの研究で、睡眠不足は身体的・精神的な病の罹患率を高めることが次々と明らかになっています。
例えば、

・国内で24,686人を対象に行った疫学調査では、睡眠時間が7~8時間より短くなっても長くなっても抑うつ状態は高まることを報告

・107756名を対象に平均9.5年間追跡調査をした睡眠時間と2型糖尿病の発症リスクの関係を調べる研究では、短時間睡眠者は7~8時間程度の睡眠者と比べて相対危険度が1.28倍、長時間睡眠者では1.48倍高くなることを報告

・153名の21歳から55歳を対象とした睡眠時間と免疫系の関係性を調査した研究では、睡眠が7時間未満の場合、8時間以上眠る人より約3倍風邪をひきやすくなることを報告

・4時間以下の短時間睡眠は7時間睡眠に比べて、女性で虚血性心疾患の死亡リスクが2.3倍、循環器疾患及びがん以外の死亡リスクは男女ともに1.5倍増加することを報告

・1041名の65歳以上の高齢者を3年にわたり追跡調査した結果では、「十分に睡眠がとれていない」人は認知症の発症リスクが睡眠がとれている人と比較して1.2倍高いことを報告

理想の睡眠時間差には遺伝子が関係?

これまでの睡眠疫学の研究から不適切な睡眠時間は高血圧・糖尿病・肥満などの生活習慣病やがん、精神疾患、認知症などの罹患率や死亡率を高めることが、これまでの様々な研究からサイエンティフィックに明かされているので、総合的に判断するとやはりミニマムでも7時間程度の睡眠時間を確保することが理想と考えられます。

ただし、理想の睡眠時間には個人差がるということは、ぜひとも知っておいたいただきたい事実です。例えば、10時間の長時間睡眠者だったと言われているアインシュタインは、多くの業績を残して76歳の長寿を全うしていますし、エジソンやナポレオンは3~4時間で十分なショートスリーパーだったといわれています。つまり、適切な睡眠時間は個人個人によって異なると言うことで、この適切な睡眠時間の差には遺伝的要因が関係しているとされています。

忙しい現代人はショートスリーパーに憧れる人がとても多いですが、真のショートスリーパーは全人口の5%程度しかいないそう。まれに自称ショートスリーパーの人がいますが、努力と気合で睡眠時間を削って頑張ろうとしている誤った認識を抱いた「エセショートスリーパー」である場合がほとんどです。無理やり睡眠時間を削ることは、健康、生産性、能力など、あらゆる「損失」につながることであり、日常生活にも多大なる弊害をもたらすため、賢い選択とは到底言えません。まずは7時間程度の睡眠時間の確保を目指すこと。そのためには睡眠時間から逆算してタイムスケジューリングを行い、生活の中で「なんとなく」過ごしている無駄な時間は極力排除するよう心がけましょう。



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