皆さん、こんにちは。
私は以前から講演などで、「睡眠力」とは「免疫力」であり、「睡眠不足は万病のもとである」とお話しております。皆さんも寝不足のときは「なんとなく調子が悪い」「身体がだるい」などという症状になったという経験、1度はあると思います。
しかし、睡眠不足はだるさ、頭痛、疲れなど病名がつかない、いわゆる「不定愁訴」だけでなく、死に至るような病の引き金にもなることが分かっているのです。
睡眠不足は心臓病や高血圧、糖尿病、肥満のリスクを引き上げる
お昼寝を含めた1日の総睡眠時間が5時間未満の場合、睡眠時間7時間の人と較べて心臓病の発症リスクは2倍にまで膨れ上がるといわれています。さらに、5時間未満の人は睡眠時間が7~8時間の人よりも高血圧のリスクが1.8倍高くなることもわかってるのです。心臓病や脳血管疾患の危険を高める糖尿病のリスク、様々な生活習慣病の起因となる肥満のリスクも高まることが明らかになっており、加えて身体的な疾患だけでなく精神的な疾患にも大きく影響を与えることがこれまでの研究でわかっています。
身体・精神・脳の3方向へダメージが及ぶ
今日1日眠らなかったからといって明日すぐ重病にかかるわけではありませんが、寝不足はサイレントキラーのようにジワジワ、しかし確実に身体、心、脳を蝕み続けます。「たかが睡眠」「寝なくても平気」と侮っていると、取り返しのつかないことになりかねません。
NHKが1960年より5年毎に行っているNHK国民生活時間調査によると、調査開始の1960年から2010年までの50年間に、日本人の睡眠時間は59分も短縮していることが記されています。この間、デジタルアイテムを筆頭に様々なアイテムが誕生し、便利な生活になったにもかかわらず、私たちは睡眠時間を年々削りながら生きているのです。決して、「私たちが眠らなくても健康でいられるように進化した」わけではなく、「眠らないで生活することを選択している」だけ。現代は情報量も多く、24時間いつでも仕事や活動ができる環境にありますが、その結果、身体や心を壊したり、脳のダメージから生産性が落ちたりしてしまってはかえって効率が悪いと思いませんか?
まずは健康という土台をしっかりとつくったうえで、高いQOLとパフォーマンスを発揮することが理想ですから、睡眠時間の確保は1日のタイムスケジュールの中にきちんと組み込んで考えるようにしましょう。