皆さん、こんにちは。
皆さんは出勤して退社するまでの仕事パフォーマンスについて、自分で満足できていますか?「なんだかだるい」「ちゃんと眠れていない」「朝から疲れている」そんな状態でも、思い切り熱が出ていたり病気で動けないといった限りは「会社を休む」ということは脳裏に浮かばない日本人がほとんどでしょう。ましてや忙しい時期なんて「休みます」なんて恐ろしくて言えない!というお声も聞こえてきそうです。
しかし、出勤している労働者の健康問題による労働遂行能力の低下を表すプレゼンティズム(presenteeism)が企業にもたらす損失は、なんと健康問題全般による休業を表すアブセンティズム(absenteeism) がもたらす損失や、医療費よりも大きいとの調査報告がアメリカではあるのです。
不眠症は労働生産性の損失額が大きいプレゼンティズムの原因となる
プレゼンティズムを簡単に説明すると、「従業員が物質的には仕事場にいても、身体的・心理的な問題によって生産性が落ちている状態」。なんとか自分を奮い立たせて出勤はしたものの、集中できない、気力が湧かない、やる気が出ないなど、なかなか高いパフォーマンスを発揮できていない状況です。睡眠不足の状態での出勤も動労生産性を低下させる問題のひとつであり、海外の論文では不眠症がある場合、欠席するアブセンティズムも労働生産性が低下するプレゼンティズムも不眠症でない群と比較すると高くなることが明らかになっています。また、心身の健康やQOLなどにも悪影響が及ぼされることも報告されているのです。眠れないことによる心身へのダメージ→労働生産性の低下→残業の増加→睡眠不足→心身へのダメージといった悪循環を断ち切るため、企業における社員のための「睡眠衛生学」の研修があることは対策としてとても大切だといえます。
No Business Wealth Without Worker’s Health
私も企業様での講演の際よく引用させていただきますが、WHOはGlobal Healthy Workplace modelの中で「No Business Wealth Without Worker’s Health」というメッセージを伝えており、企業の発展、成長、利益増進のためには、まず大前提としてそこで働く人達の心身の健康が担保されていることが大切であると言っています。社員の健康のための投資は長い目で判断した際には結果としてコスト削減につながる戦略です。さらに、社会的なブランドイメージ向上にもつながり、また社員のモチベーション維持にもつながります。組織は人の集まりです。1人1人の身体的な、精神的な健康が守られることで社会全体の健康につながり、企業の利益向上だけに留まらない社会の課題解決にもつながることができます。高いパフォーマンスは心身の健康づくりから。日本人は休むことに対して苦手意識がとても強いですが、休むこともビジネススキルのひとつと考え、まずは夜の睡眠時間はしっかりとるところから始めてみませんか?