54. 慢性的な不眠者は快眠者よりも『うつ病』になるリクスが40倍も高いことが判明

皆さん、こんにちは。

「うつ病」などを含めた精神疾患に苦しむ人の人口は年々増加傾向にあり、平成20年には精神疾患により医療機関にかかっている患者数は323万人にのぼりました。厚生労働省の調べによると日本国内の精神障害による欠勤の労働損失は9,468億9,400万円にもなると報告されています。以前は「うつ病は心の風邪」なんて呼ばれていましたが、そんな生易しいものではありません。
また、WHOの報告によれば、日常の健康な生活に支障をきたす疾患として2004年の段階では第3位に位置するうつ病が、2030年には第1位になると予測されており、大きな社会問題となっているのです。

うつ病発症・再発の危険因子としての睡眠障害が注目を集めており、これまでも睡眠とうつに関しては多くの研究がなされてきました。1989年、米国にて7954名の地域住民を対象に睡眠とうつの関連性を1年間にわたり追跡調査した疫学研究では、調査開始時点と1年後の再調査時の両方の時点で眠れていなかった人々は、眠れていた人々と比べてうつ病を発症する割合が約40倍も高かっという衝撃の結果を報告したのです。

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この研究では、うつ病以外にも不安症やその他の精神疾患、アルコールの乱用などのリスクも高まることが記されています。うつ病に随伴する最も一般的な睡眠障害は不眠で、うつ病患者の80%から85%程度で認められるといった報告もあるので、睡眠状態は心の健康を図る大切なバロメーターのひとつであることは間違いありません。

・朝起きたい時間よりも早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)
・夜中に何度も目が覚めてしまう(中途覚醒)
・なかなか寝付けない(入眠障害)

など、「いつもと違うな」と感じたら見過ごさず、自分の心や身体を声をゆっくり聴く時間を普段よりも多く持ちましょう。そして、もしも眠りを悪化させている習慣に身に覚えがある場合は(深酒・暴飲暴食・夜中までゲーム・休みをとらないなど)、直ちにその習慣を改め、まずは睡眠の時間を確保すること、そしてゆっくりお風呂に入ったり、軽く運動をするなどして気分をリラックスさせる習慣を取り入れてください。
心身は自律神経系・免疫系・内分泌系の3つのルートでつながっています。心のダメージは身体よりも見つけにくいですが、日々の睡眠を大切にすることで健康なメンタルを維持し、高いQOLをキープしていきましょう。

※Ford DE, Kamerow DB. Epidemiologic study of sleep disturbances and psychiatricdisorders. An opportunity for prevention? JAMA. 1989 Sep 15;262(11)